山岳に咲く可憐な花、 高山植物の女王「コマクサ」ってどんな花?

そろそろ夏山登山のシーズンですよね。山で見かける「高山植物」。今回は、高山植物の女王と呼ばれる「コマクサ」をご紹介します。
コマクサは、どうして「高山植物の女王」と呼ばれるの?
コマクサは、稜線の強風に吹く、岩や石の多い土地(砂礫地)を好んで群生します。他の植物が生息できないような、高山の厳しい環境で、美しい花を咲かせることから「高山植物の女王」と呼ばれています。
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コマクサって どんな花?
コマクサは、大きさは15~20センチで、花の咲く季節は7~8月の約1ヶ月間です。花の色は、ピンクや白、紅色です。花びらは4枚あり、一見、ハートの形や、バレリーナが踊っているようにも見える可愛らしい姿をしています。日本原産の高山植物です。
コマクサの花名の由来は?
コマクサの和名は「駒草」で、駒とは馬の事で花の形が、馬の顔の形に似ていることが名前の由来のひとつです。また 「樺太駒草(カラフトコマクサ)」という別名もあります。
他にもこんな由来があります。信州の村に「おこま」という人がいて病気になってしまいます。木曽御嶽神社で回復を願うと「御嶽山の山頂で咲く桃色の花が薬になる」とのお告げを聞き、回復したというお話です。その桃色の花が「オコマグサ」と呼ばれ「コマクサ」に変化したと言われています。
絶滅の危機!? コマクサには毒がある?
コマクサは過去には、腰痛に効く薬として薬草にされていた時代もありました。 薬草目的で採取されすぎて、絶滅してしまった地域もあります。
薬草として使われていたコマクサですが、花、葉っぱ、茎、根っこと株の全てに毒を持つ毒草でもあります。
コマクサは採取したらダメなの?
コマクサは、絶滅の恐れのある野生生物の指定を受けています。上信越高原国立公園、中部山岳国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園、北海道立自然公園条例などでは指定植物となっており、それらの場所での採取は禁止されています。
また、コマクサの根っこは、不安定な砂礫地の地下に1m~3mほど広がっています。根っこは、白くてやわらかくヒゲ状になっていてます。
コマクサの生える場所は石などで、地面が安定していない為、周辺を歩くと土の中の根っこが切れて、枯れてしまうことがあります。あまり近づかないように気をつけましょう。
コマクサの花言葉は?
コマクサの花言葉は、「高嶺の花 (たかねのはな)」「誇り (ほこり)」「気高い心」「貴重品」などです。高山で美しく咲く花なので「高嶺の花」はぴったりですよね。
コマクサは販売してるの!?
コマクサは、生息地で採取が禁止されていますが、種子や苗は普通に販売されています。高山植物なので、自宅で育てるのは少し難しいようですが購入は可能です。
コマクサは、どこの山で見れるの?
- 【北海道】知床半島(硫黄山付近)、雌阿寒岳(阿寒富士のコル付近や斜面等)、大雪山系(全域)
- 【東北地方】岩手山、秋田駒ケ岳、蔵王、岩手山(頂上付近等)、秋田駒ヶ岳(大焼砂原)、蔵王連峰(三叉路~熊野岳山頂)、燧ヶ岳
- 【関東地方】草津白根山
- 【中部地方】白馬岳(砂礫地帯)、蓮華岳( 山頂付近)、燕岳( 山頂付近)、乗鞍岳(山頂付近・魔王岳山頂付近)、大天井(大天井ヒュッテ東斜面)、横岳(硫黄岳大ダルミ~台座ノ頭)、根石岳(箕冠山周辺)、御嶽山(五の池小屋~継子岳・サイノ河原の東・白龍避難小屋~摩利支天の斜面・一の池外輪~二の池の斜面)、木曽駒ケ岳
などの山で、花が咲くタイミングに合えば見ることができます!
中央アルプス(木曽駒ケ岳)と南アルプス(甲斐駒ケ岳)
「木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)」と「甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)」は、かつてコマクサの群落地がありましたが、薬草として採り尽され自生のコマクサは絶滅したと考えられています。
※ 剣山荘や西駒山荘周辺などで生育している「コマクサ」は、営林署や個人が植えたものが生育しています。
まとめ
可愛らしく咲く「コマクサ」。
可憐な姿のからは想像がつかない程、力強い生命力を秘めた たくましい花ですよね。
高山植物なので、見に出かけるのは少し大変ですが、貴重であるからこそ見た時の感動は大きいです!
魅力いっぱいの素敵なお花でした。
上の写真は【2018年8月】に、コマクサの大群落地「北アルプス・燕岳(つばくろだけ)」で撮影しました。 鮮やかなピンク色の花がとても綺麗で癒される風景でした。 コマクサの手前にはロープが張られていて近づけないように、ちゃんと保護されていました。 素敵な風景を、これからも大切にしたいですよね。 |